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日本の大企業に広がる「働き方改革」特集(中編)

前回のコラムでは、日本の大企業の働き方改革の実例を紹介しました。
今回も引き続き、前回お伝え仕切れなかった具体的な実例をご紹介させて頂きます!

1.選択できる働き方と人事評価の納得性で、離職率低下とチームワーク向上

グループウェアの開発・販売会社のサイボウズ株式会社は、新卒男性が集まりにくかったベンチャー企業ならではの事情もあり、優秀な人材として女性に着目し、2005 年頃からダイバーシティ(多様な人材活用)経営に取り組んできました。

人生のイベントに合わせて働き方を変更できる「選択型人事制度」を導入し、「時間に関係なく働く」「少し残業して働く」「定時・短時間で働く」の3 つのコースから、誰でも自らの自由意志で働き方を選択できるようにしました。評価が同じであれば、どのコースでも時間当たりの賃金は同額という、働き方に中立な賃金制度です。

人事評価では、「信頼度」を測ることを重視しています。時間や勤務場所の自由な社員が増えれば、それだけ、いかに価値観を共有し、同じ方向に向かって進んでいるか、つまり「どれだけ信頼できる人材か」が重要になると考えたためです。信頼度を測る基準は、次のような「Action5+1」と呼ぶ6 つの行動です。

Action5+1


サイボウズの人事評価基準(Action5+1)


基準のAction が十分でない社員、例えば、「役割(課題)を果たすために必要な知識の習得」が不足している社員への信頼度は、習熟している社員よりも低くなります。評価結果は、部長・本部長クラスから社員へ、直接面談のうえ、必ずフィードバックすることになっています。

その際、原因つまり改善ポイントが明確に提示されるため、評価を上げるために何をすればいいのかが社員に伝わり、評価は、同時に成長を促すためのものとなっています。

さらに「上司がちゃんと見てくれている」ことが伝わるため、社員の納得感が非常に高まった結果、2005 年以前の離職率が高かった時期には多くみられた評価に対する社員からの不満が激減しました。丁寧な評価がコミュニケーションの手段となり、チームワークを高める役割を果たしているのです。

(資料)経済産業省 平成25 年度「ダイバーシティ経営企業100 選」ベストプラクティス集


2.セルフチェック評価を通じたパートタイマーの育成と納得感のある処遇

総合スーパー大手の株式会社イトーヨーカ堂は、セルフチェック評価制度を正社員からパートタイマーの全社員に導入しています。半期ごとに全社員に配布される評価シートには、職務内容が記述されており、求められる役割が認識できるようになっています。同社の評価方式は、まず自己評価、その後に上長評価を実施します。面談にて、評価結果・評価理由を確認し、課題を伝え、次期の行為につなげるというシステムです。

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セルフチェック評価の育成スパイラルと処遇の連動


この仕組みにより、社員本人と上長のギャップを埋めることができ、課題が明確になるのでOJT と連動させることができます。評価の処遇反映もすべて開示しているので、納得感につながっています。

同社は、同じ仕事でも優秀な仕事ぶりであれば賃金差があるべき、という考え方が働く人には支持されていると認識しています。特に、パートタイマーは、同じ職務でも継続して優秀な人は処遇格差をつけるべきという考えが強いため、評価による処遇格差はさらに納得感につながっています。また、同じ職務でも優秀な役職候補者については、管理者的な項目をシートに盛り込んでおり、これによって気持ちの準備と納得感がある社内登用が実現できています。

一方、実態として、パートタイマーには、管理責任や業績責任(数値目標)に抵抗があるが、接客やものづくりにやりがいを持っているという人が多いと捉えています。そのため、パート社員に昇格・登用の拒否権を与えるなど、働きたいステージを自分の価値観で選択できるようにしています。

(資料)首相官邸 「第3回 働き方改革実現会議」(平成28 年11 月16 日開催)配布資料11 など


3.スキルを明文化したランク表に基づく教育設計と時間給決定

飲食チェーンを展開する吉野家グループでは、非正規の有期雇用社員(キャスト社員)が店舗でのオペレーションを主に担っているため、キャスト社員への教育を重視しています。

キャスト社員が入社時から段階的にスキルを身につけられるよう、9 つのランクごとに求められるスキルを明文化したCRS(キャスト・ランクアップ・システム)を導入しています。

店長は、ランク表を参考にし、キャスト社員個別の教育計画を本人との話し合いを通じて策定します。キャスト社員には、個別の目標を記載したシートを配布します。CRS によって明確な評価基準があるため、キャスト社員は「次のランクに進むには何が足りないか」を把握し、スキルアップに向けて取り組むことができます。

キャスト社員は、配布されたシートに沿って毎月自己評価を行い、店長との面談に臨みます。面談後、店長は目標の達成状況を判断し、達成度に応じてランクの昇格を決定するとともに、その後の教育指導の方針を決定します。

同社では、ランクと時給額が連動しています。CRS の全ての単位を取得すると時給額が最大150 円プラスされます。時給が上がるということはスキルが上がることの対価であり、ひいては店の生産性が高まるものと判断されるため、同社では積極的に時給を上げていきたいと考えています。

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また、同社では、外食産業一般の傾向として正社員を確保することが難しく、キャスト社員のままで店長業務の8 割程度を担うキャスト店長には特に優秀な人材が多かったため、そのような人材をいかにして長期的に確保していくかが課題となっていました。

そうした背景の下で、2007 年には通勤時間が1.5 時間程度のエリアに勤務地を限定する正社員であるエリア社員を導入し、当該社員への転換制度を開始しました。同制度は、優秀なキャスト店長の正社員への転換の機会を広げることに加え、店長業務を担うキャスト社員がエリア社員に転換することで正社員との同一労働・同一賃金の実現を図ることを狙いとしたものでした。エリア社員には、グローバル社員(勤務地無限定の正社員)と共通の職務等級制度を適用し、同じ職務である場合には同額の基本給を設定しています。

(資料)厚生労働省 「多様な人材活用で輝く企業応援サイト」 事例02