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日本の大企業に広がる「働き方改革」特集(前編)

2016年より政府の旗振りの下、注目を集めている「働き方改革」。


経済界では、大企業を中心に、働き方改革が人材の採用や定着、仕事の質向上などに資するとして、「経営にプラス」と受け止める考え方が主流となってきています。何より企業イメージへの影響が大きく、他社より先進的な改革をより早くと駆り立てられ、いまや競争の様相まで呈しています。今回は、3回に分けて日本の企業が取り組んでいる「働き方改革」の実例を、たっぷりとご紹介致します!

働き方改革のポイントとは?

安倍首相の肝煎りで働き方改革を主導しているのが、「働き方改革実現会議」。そこでは以下の9 つの討議テーマが掲げられています。

働き方改革実現会議における討議テーマ
① 同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善
② 賃金引上げと労働生産性の向上
③ 時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正
④ 雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の問題
⑤ テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方
⑥ 働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性や若者が活躍しやすい環境整備
⑦ 高齢者の就業促進
⑧ 病気の治療や子育て・介護と仕事の両立
⑨ 外国人材の受入れの問題

企業の本音として、これらテーマの中で最も目標とすべき課題は、「労働生産性の向上」ではないでしょうか?
急激に進行する少子高齢化の下、行政の圧力を受けるまでもなく、子育て・介護支援や賃上げによって離職を防く・柔軟な働き方を設定して女性や若者、高齢者、外国人を活用するといったことは避けられません。働く時間に制約のある人手と、高い時間単価を両立させつつ経営を成り立たせるには、一人ひとりの生産性を向上させるほかないからです。

これまで、働き方改革実現会議での政府の検討は、長時間労働の是正と非正規雇用の処遇改善(同一労働同一賃金)の推進に力点を置いていましたが、いよいよ「生産性向上」を前面に打ち出し始めました。政府は、働き方改革を「一億総活躍社会の実現」の中心に位置づけており、多様な働き方を受け入れる社会への変革が、一連の取組みのそもそもの目的です。

しかし、多様な働き方が生産性向上を伴うものでなければ、経済も雇用も縮小し、本末転倒でしかありません。

すでに、企業の行動は始まっている働き方改革で取り上げられているテーマのほとんどは目新しいものではなく、古くは10年近く前から、政府はワーク・ライフ・バランスや過労死防止などの切り口で検討を重ね、企業に取組みを働きかけてきました。

したがって、すでに多数の企業において、労働時間削減や女性活躍推進等の取組みが実践されています。後に続く企業の参考になるよう、政府(厚生労働省、経済産業省、総務省など)や使用者団体(経団連など)、労働者団体(連合など)はそれら先進企業の事例を集め、積極的に公開しています。そのような公開事例の中から、働き方改革と業績向上をいかに両立させるか、そのヒントになる取組みを紹介しましょう!

働き方改革に前向きに取り組む企業事例(前半)


1.課単位で時短を競わせ、インセンティブで意識改革

長時間労働の典型業種と見られてきた情報通信業の中で、SCSK 株式会社(東京都江東区)は残業時間の削減と業績向上を両立した企業として、各方面で注目を集めています。

同社は、2013 年4 月より「年次有給休暇取得日数20 日、平均残業時間20 時間/月以下」などを目標に掲げ、活動を開始しました。 ポイントは、残業削減にインセンティブをつけたことです。同社では、減少が見込まれる残業手当の全額を原資にして、部門単位の達成状況に応じた賞与加算を実施しました(2014年度まで)。つまり、労働時間短縮をプラス評価にして、残業を少なくしても年収が下がることがないように工夫したのです。

そして、効率的で生産性の高い仕事を行うため、アイディアコンテストや取組事例の表彰を実施するとともに、課単位での取組施策を社内ポータルに掲載し、業績目標にも取組みを連動させるなどの仕組みを作りました。

併せて、全社的に業務プロセスを見直し、残業時間の長い部署に手順遵守を徹底。さらに、長時間労働や休日出勤に対する賦課金制度(社内管理上、営業利益に賦課し、役員評価等に加味する制度)や、長時間労働者に関する改善報告書(四半期単位で上司が人事部門へ提出)も導入しました。

これらにより、同社は2012 年度に全社平均で26 時間10 分あった残業時間を2015 年度 に18 時間まで削減できました。一方で労働時間短縮にもかかわらず、2015 年度までに6期連続で増収増益を達成しています。

2015 年7 月から裁量労働制の対象者を拡大。さらに裁量労働制対象外の社員にも固定残業代(20 時間/月、基幹職には34 時間/月相当、超えた時間は別途支給)を支給する制度を導入しましたが、制度導入後も、引き続き残業時間が減る傾向にあるということです。

これは、上記のような活動を通じて、効率性の低い長時間労働には意味がないという、生産性を意識した働き方が一人ひとりに浸透した結果といえます。

(資料)厚生労働省 「働き方・休み方ポータルサイト:働き方改革取組事例」(2015 年7 月掲載)など


2.各職場での面談とPDCA サイクルによる、的確性の追求

化学繊維ほか化学品の製造大手、東レ株式会社(東京都中央区)では、働き方改革の取組みを、経営理念である現場主義に基づき推進しています。

「現場・現物・現実をよく見て現状分析を徹底的に行い、「あるべき姿」と「やるべき事」を明確にして、本質を突いた的確な取組みと生産性の高い効率的な働き方につなげていく」という考え方です。それに基づき、上司と部下が個別に面談で働き方について話し合い、各自の仕事の進め方を見直しています。

また、同社は、経営活動であるPMP 活動(日次管理による攻めの経営活動)と働き方改革を連動させています。同社のPMP 活動とは、「設定した課題に対してはPDCA サイクルを回し、その進捗をタイムリーかつ的確に把握し、軌道修正やリカバリーが必要な場合には、早めに関係者の方向性をそろえて即応していく」という活動です。この活動と連動させることにより、生産性の高い業務遂行につなげていきます。さらに、現場の管理会議等で時間外労働等の動向を毎月フォローし、増加した場合はその原因分析と解決に取り組んでいます。

一方で、全社的には、1991 年以来、事業運営の効率化を高め、業務革新・業務遂行プロセスを抜本的に見直す取組みを推進しています。

(資料)厚生労働省 「働き方・休み方ポータルサイト:働き方改革取組事例」(2015 年8 月掲載)


3.職務給と裁量労働制による、役割と成果での評価の徹底

2005 年4 月に山之内製薬と藤沢薬品工業の合併により生まれ、業界売上第2 位(2015 年 度)のアステラス製薬株式会社は、合併を機に給与を職務給に一本化しました。職務給とは、従事する職務の難易度と価値で決まる給与のことです。 職務に給与が結び付いており、年齢、勤続年数や職務遂行能力といった人の属性に給与が関連づけられている職能給と対比されるものです。

同社では、職務給に基づく「Pay for Job, Pay for Performance」の考えのもと、評価は時間ではなく役割と成果で測るよう厳格化し、社員の意識を変えています。さらに、裁量労働制を導入したことで、長時間頑張っているという時間軸での評価は見られなくなり、目標管理制度をより有効に活用できているとのことです。

(資料)厚生労働省 「働き方・休み方ポータルサイト:働き方改革取組事例」(2015 年3 月掲載)




前編はここまでとなりますが、いかがでしょうか?

文字だと具体的にどのような施策に落とし込めばよいかイメージがつきにくいかもしれませんが、それは御社で施策を導入する時も同じです!!

社内のメールや掲示板、口頭で訴えかけるだけではなく、明確な制度を導入し、会社の利益(=働き方改革)に貢献した社員の処遇や評価にきちんと反映していくことが、働き方改革の成功の重要なポイントとなるのです。

それでは、台湾においてはどのような制度が働き方改革を成功に導くのか?? そうしたお悩みは是非当社でお任せ下さい!
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次回も引き続き、日本における働き方改革の事例をご紹介致します!